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紙面候補)大阪・関西万博のゲート付近を視察する旅行業者ら=2025年2月25日午後1時33分、大阪市此花区、浅倉拓也撮影
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 4月開幕の大阪・関西万博で大阪府や近隣自治体が実施する学校単位での無料招待事業をめぐって、来場を取りやめる学校や自治体が相次いでいる。引率を担うことになる教員らからは不安の声が漏れる。何が課題になっているのか。

 「教育的意義があり、課題についても克服を今進めている」。大阪府の吉村洋文知事は1月30日の会見で、自治体側が懸念する会場の熱中症対策などを強調してみせた。

 この会見の同日。府教委は、無料招待した府内の小中高校と支援学校の児童生徒計約88万人(計1841校)のうち、学校単位の来場希望は約58万人(1388校、1月時点)だったとする調査結果を発表。昨年7月時点では約68万人(1526校)が来場を希望しており、約半年で約10万人減った。会場の安全対策への懸念などを理由に吹田、交野、熊取、島本の府内4市町も同日までに学校単位での参加見送りを表明していた。

 参加が低調なのは、大阪だけではない。兵庫県や京都府など大阪近郊の自治体も学校単位の無料招待事業をするが、滋賀県では招待した小中高生15万8千人(407校)のうち、参加予定は1万5千人(57校)にとどまる。昨年11月の調査では220校が活用を予定または活用を検討するとしたが、そこから7割以上も減った計算で、担当者は「ここまで少なくなったのは驚きだ」と漏らす。

 大阪と同じく、学校単位で参加しない場合は個別に無料招待するが、実際に会場に行けるかは家庭の事情などに左右されるため、「体験の格差を生まないためには学校で行ってもらうのが一番だ。学校の希望にできる限り寄り添いたい」と担当者は語る。

 奈良県では昨年10月の意向調査で県内の小中高363校中、86校が無料招待事業を利用予定、144校が検討中、51校が利用しないと回答したが、対象となる小中高校生12万7千人全員が行く想定で、1億7千万円を新年度予算案に計上する。今後、参加を希望する学校が増えた場合にも対応できるようにするためだという。

 なぜ不参加が相次ぐのか。多くの学校があげるのが熱中症などの安全面のリスクだ。万博協会は、会場に学校向けの休憩所を3800席分用意したり、バス乗降場から最寄りのゲートまでの850メートルの通路にミスト付き扇風機を設置したりといった対策を予定する。しかし、市立小中全54校の学校単位での参加を見送った大阪府吹田市の後藤圭二市長は「何とかして行かせてあげたいと思っていた。ただ、真夏の暑さはドライミストでは対応できない」などと先月10日の会見で指摘。「災害時の対応、救護所の状況についても満足できる回答はなく、安全面の確認が出来なかった」と話した。同府豊中市も熱中症のリスクを理由に市立小学校39校(義務教育学校を含む)のうち、32校は低学年の児童は参加しない。

 会場までの交通費の保護者負…

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